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Antoine De Jacquelot

Antoine De Jacquelot

アントワーヌ・ド・ジャクロ

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アントワーヌ・ド・ジャクロは、エルメスのカレを手がけたことで知られるフランス人画家であり、タペストリーデザイナーです。
1938年、フランスのアンジュー地方に生まれ、希少な職業である「パンタル・カルトニエ」として長年活動してきました。

パンタル・カルトニエとは、タペストリー制作のための原画や実寸大の下絵を描く専門職です。
織り手が色や形を正確に再現できるよう、構図、色彩、細部まで緻密に設計する重要な役割を担います。

アントワーヌ・ド・ジャクロは、ブールジュ美術学校とパリの工芸学校で学び、ペローやモーリス・アンドレといった芸術家の指導を受けながら、絵画とタペストリーデザインの技術を磨きました。

1962年に工芸美術のディプロムを取得し、翌1963年からはロイヤル・パリでカラーリストとして活動を開始します。

## エルメスとの協働

1990年、アントワーヌ・ド・ジャクロはエルメスとの共同制作を始めました。

自然を題材にした繊細で装飾性の高い作風を生かし、数々のカレを手がけています。

代表作には、以下のようなデザインがあります。

La Vie au Grand Air
La Prairie
Pampres
Les Merises
Joyaux de l’Été
L’Intrus
Casse-Noisette
L’Arbre de Soie

これらの作品には、植物、果実、動物、樹木など、自然界のモチーフが多く登場します。

彼のデザインは、博物学的な正確さを持ちながらも、単なる写実表現にはとどまりません。
形や色を再構成し、エレガントで装飾的な世界へと昇華させている点が大きな特徴です。

## 自然を見つめる眼差し

アントワーヌ・ド・ジャクロは、植物や動物を注意深く観察し、その特徴を繊細に捉える芸術家です。

葉の形、花の構造、果実の質感、動物の動きまでを丁寧に描きながら、自然の姿を洗練された装飾へと変えていきます。

その作品には、自然科学的な観察力と、詩的な想像力の両方が息づいています。

現実のモチーフを正確に描きつつ、色彩や配置を大胆に再構成することで、エルメスのカレにふさわしい華やかさとリズムを生み出しています。

## タペストリーの伝統

アントワーヌ・ド・ジャクロは、タペストリーという伝統的な芸術分野においても重要な存在です。

彼は、織り手が制作の指針とする大判の下絵を手描きで制作し、色彩、輪郭、構図を細かく設計してきました。

デジタル技術や写真を用いた制作方法が広がる中でも、手描きによるタペストリーデザインの伝統を守り続ける、フランスでも数少ない現役のパンタル・カルトニエのひとりとされています。

1992年からは、イタリアのテキスタイルメーカーであるラッティとも協働し、活動の幅を広げました。

## 展覧会と創作活動

彼の作品は、フランス各地の展覧会でも紹介されています。

ムアン=シュル=イエーヴルのポール・ド・ラ・ポルスレーヌで開催された回顧展では、オービュッソンのタペストリーとエルメスのデザインが並んで展示されました。

長年、ブールジュ近郊のサン=ドニ=ド=パランに暮らし、日常の自然からも多くの着想を得ています。

自身の庭で育てた乾燥ヒョウタンに絵を描くなど、珍しい素材を用いた制作にも取り組んできました。

こうした実験的な表現からも、彼が色彩と形に対して高い感覚を持つ、柔軟で多才な芸術家であることが分かります。

## エルメスにおける魅力

アントワーヌ・ド・ジャクロのカレは、自然の繊細さと装飾芸術の華やかさを兼ね備えています。

植物や動物を深く観察する眼差し、タペストリー制作で培われた構成力、そして豊かな色彩感覚。

それらが結びつくことで、一枚のシルクの中に、静かで優雅な自然の世界が広がります。

伝統的な手仕事を守りながら、自然の姿を新たな装飾表現へと変えてきたアントワーヌ・ド・ジャクロは、エルメスのカレに独自の詩情と気品をもたらした重要なデザイナーです。

Casse-Noisette

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